税   務   署   の   秘   密
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「税務調査の教科書」

国税の調査官や査察官には、「脱税摘発の教科書」があるのでしょうか?

答えはイエスです。
税務署には、税務調査のノウハウを書いたテキストがいろいろ存在します。
しかし、これはまあどこの職場にも、存在するマニュアルの延長と思ってもらえばいいでしょう。

このテキストを読んだからといって、だれもが簡単に脱税を見つけられるというものではありません。税務調査というのは、臨機応変さが非常に求められるものです。

納税者が100人いれば、100人とも固有の状況があります。それを、短い時間に読み解いて、申告が正しいかどうか判別しないとならないのです。

「百聞は一見にしかず」のことわざ通り、テキスト通りに税務調査が進むなどということは、100件に一件もない、と言えるでしょう。
税務調査というのは、経験してみなければ、わからないものなのです。

また税務調査の仕事というのは、才能も大きく関係してきます。どれだけ経験を積んでも、駄目な調査官は駄目なものなのです(ここで言う駄目という言葉の意味は、単に脱税を見つけられるかどうか、という意味で、人間的に駄目という意味ではありません)。

また調査官というのは、職人肌の人が多いのが特徴です。調査官はみな、自分なりの調査手法というものを持っています。そして、その調査手法をなかなか教えたがらないのです。調査官は、どれだけ脱税摘発したかが、評価の対象となるからです。セールスマンが、自分のセールス手法をほかの人に教えたがらないのと、同じようなものでしょう。

つまり、税務調査の本当のテキストは、調査官それぞれの頭の中にあるといっていいでしょう。


「見習い調査官」

調査官は、税務署に配属される前に一応研修を受けます。
しかし、研修を受けたからと言って、すぐに調査が出来るようになるわけではありません。
だから、調査官は配属されて、1、2年くらいは、先輩の調査官について行って、調査の見習いをします。

税務調査を受けたことのある事業者の方は、もしかしたら、年配の調査官と若い調査官のコンビの調査を受けたことがあるかもしれませんね。

調査官は、はじめに指導してくれた先輩の影響を強く受けるといわれています。
その先輩が、調査がうまければ、調査がうまくなる。さぼるのがうまければさぼるのがうまくなる。
パチンコ好きであれば、パチンコ好きになる。
という具合です。

調査官には、色んなタイプがいます。
調査のほとんどを世間話に充てるという調査官もいれば、ほとんどしゃべらずにひたすら帳票類をめくるという調査官もいます。
また、やたら口がうまくて納税者を巧妙に口車に乗せて税金をふんだくってくる調査官、納税者に怒鳴り散らして威嚇して追徴税を認めさせる調査官、会社の引き出しを強引に開けまくったり、社長のカバンをこじあけて、脱税の証拠を見つける調査官、銀行調査が非常にうまい調査官など。
見習い調査官は、そういう先輩調査官の特徴をそのまま引き継いでいくのです。

昔は、新人調査官の指導などはほとんど行われていませんでした。
「調査は体で覚えろ」と言われ高校出の調査官がいきなり、会社に調査に行かされるようなことがありました。
帳簿の見方も知らない調査官は、なにをしていいかわからずに、
「資本金がちょっと多すぎるようですね」
と、まるで2,26事件の将校のようなことを言った調査官もいたそうです。
会社の方は、調査官にそう言われてどうしたかって?
「わかりました」と言って、若干の追徴税を払ったそうです。
昔は、お上の威厳が強かったのです。現在は、もちろんそんなことはありえません。
今は、納税者の権利意識が強くなった上に、知識もかなり持っている人が多いので、調査官も相当の武装をしていかなければならないのです。

「調査官は本当にゴミを漁るのか?」

テレビドラマ「マルサ!!」や映画「マルサの女」では、調査官や査察官がゴミを漁って、脱税の証拠を探すシーンが出てきます。
調査官は、本当にゴミを漁るようなことをしているでしょうか。

答えはイエスです。

納税者のゴミというのは、「脱税の証拠」が眠っている宝の山なのです。
たとえば脱税をしている飲食店は、売上伝票を捨てていることがあります。伝票を一部捨てて、捨てた分の売上は抜くのです。ゴミの中から売上伝票が見つかれば、脱税を見つけたようなものなのです。そのほかにも、捨てられた箸の数を数えて、申告された客の数よりも箸の数が多ければ、脱税をしている可能性が高いということになります。
だから、調査官は調査先周辺のゴミの収集日などもあらかじめ把握しています。

脱税者の方も、税務署がゴミを漁るということは、承知していることも多く、都合の悪いゴミはわざわざ自宅に持ち帰って捨てることもあります。そのため、調査官は、納税者の自宅まで行ってゴミを収集することもあります。脱税者と調査官というのは、まさにいたちごっこですね。

ただテレビドラマと違うことは、調査官がゴミを漁るようなときは、汚れてもいいような服装をしていることが多いのです。でも帳簿をめくるだけの普通の調査の途中で、急にゴミを漁らなくてはならない状況になることもあります。そんなときはスーツのままゴミを漁るようなこともあります。

「悲しき国税徴収官」

税務署というと、警察の次に怖いと 思っている人も多いようですが、税務署って具体的にどんな仕事をしているのか、というとなかなか知ることができないものですよね。

税務署には大きく分けて、「調査」と「徴収」という仕事があります。
「調査」というのは、簡単にいえば、納税者のところに行って、脱税を暴く仕事です。
「徴収」というのは、申告された税金がきちんと納められているかどうかを確認し、納められていなければ取り立てに行く仕事です。

ですから、調査官といわれる人は、税務署の中で「調査」の仕事をしている人のことです。そして、徴収の仕事をしている人は「徴収官」といいます。人数の割合は、調査官のほうが徴収官よりもやや多くなっています。

調査の仕事は、マスコミや小説などにも取り上げられ派手で面白みもありますが、徴収の仕事というのは、面白みが少ない上に大変です。

税金を納められない人というのは、それなりの事情があるわけで、そう簡単に納めてくれるものではないわけです。そこをどうにかして納めてもらおうというのが徴収の仕事であり、つまり借金の取立てと一緒なのです。

税金がどうしても納められない場合は、差し押さえをすることもあります。
差し押さえをする場合、差し押さえる物件に、赤札というものを貼るのですが「徴収の仕事は泣いている赤ん坊の哺乳瓶に赤札を貼ってくる冷徹さがないと務まらない」などともいわれています。

「国税徴収官というのは、国が雇ったヤクザだ」と自嘲する徴収官もいます。

実際、借金取りと同じように、かなり手荒なことをすることも多く、生活に困っている人の生命保険を解約させて、新聞沙汰になったこともあります。

国税の職員というのは、基本的には、初めに配属された部署の仕事を最後まですることになります。だから初めに徴収部門に配属されれば、その人は定年まで徴収の仕事をしなければならないのです。「マルサ」に憧れて、
国税に入っても、徴収に配属されれば調査の仕事はできないのです。

もちろん、新入職員の徴収部門への希望者は非常に少ないです。というより徴収を希望する人はほとんどいないといっていいでしょう。それでも、毎年、新入職員の半分近くは、徴収の仕事に配属されているわけです。






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